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かつてはエンジニアとして仕事をしていた、木工作家の臼田さん。東川町で長年ものづくりをしたあと「どの森の、どの木なのか、出身地が分かる木でものづくりがしたい」と下川町へ移住しました。

通常、森から切り出された広葉樹は、そのほとんどが紙の原料としてチップにされてしまいます。「自分よりもずっと年上の立派な木が、命を全うした最期に粉々になってしまうのが悲しいなと思って」と話す臼田さん。現在は下川の木材会社さんに切り出した木を取っておいてもらい、そこからものづくりに使う素材を仕入れています。また、下川にあるNPO法人「森の生活」から、乾燥させた広葉樹を、自身の目で見て触れて選んで買っているそう。「作品作りに使う木を自分でチェンソーで作品作りをしやすい大きさに切って、ものづくりをするんです」。

臼田さんが作るのは、器や時計、コースター、羊の置物などなど。北海道内はもちろん、東京や台湾でも展示会に出展してきました。イベントでは、臼田さんに会いに来るファンの方々もいるという人気ぶり。作品の中では、木の表面の質感を残した縁をもち、なめらかな曲線美を描く器が代表作です。器という形を借りて、木がおめかししたような品のある佇まいが特徴で、一つ置いてあるだけで空間に凛とした雰囲気が生まれます。

去年、臼田さんは友人と共同で森を購入。ご自身でウッドデッキを手作りしたり、森の中でバーベキューを開催したりと、自分の森だからこそできる、ものづくりとはまた別の方法で自然を思い切り楽しんでいます。「森の中にいるというだけで、癒されるなあと感じます。ゆくゆくは、自分の森に樹齢100年の木を残したいなと思っているんですよ」。

森が長生きできるように自ら森を手入れし、間伐した木でものづくりを続ける臼田さん。木の器は世の中に数あれど、臼田さんの作る器がとりわけ存在感を放っているように感じられるその理由は、臼田さんの森に対する想いがにじみでているからかもしれません。

森を見守り、また森の中で思い切り遊び、そして森に感謝する──森と生きる臼田さんだからこそ、生み出せる器が、ここにはあります。